筋肉ジイさん怖すぎ!傑作スリラー『ドント・ブリーズ』ネタバレ映画レビュー

ドントブリーズ観てみたんですが、結論から言うと大傑作でした!!

こんなにビビると思わなかった。
リラックスしてみようと思ったら中盤から緊張しっぱなしだった汗

 

『ドント・ブリーズ』の映画情報

原題:       Don’t Breathe(ドント・ブリーズ)
制作年/国:      アメリカ
監督:      フェデ・アルバレス
プロデューサー: サム・ライミ
主演:      ジェーン・レヴィ/ステファン・ラング
出演:      ディラン・ミネット/ダニエル・ゾヴァット
ジャンル:    スリラー

解説
製作サム・ライミ&監督フェデ・アルバレスの「死霊のはらわた」(13)コンビが贈るスリラー。大金を隠し持つと噂される盲目の老人宅へ強盗に入った若者たちが、どんな音も聞き逃さない鋭敏な感覚を持つ老人によって、暗闇の中で逆に追い詰められていく。出演は「死霊のはらわた」のジェーン・レヴィ、「アバター」のスティーヴン・ラング。(「KINENOTE」から)

あらすじ
親と決別し、街を出るための逃走資金が必要になったロッキー(ジェーン・レヴィ)は、恋人のマニー(ダニエル・ゾヴァット)や友人のアレックス(ディラン・ミネット)と一緒に、大金を隠し持つと噂される盲目の老人(スティーヴン・ラング)の家に強盗に入る。だが、目は見えないものの超人的な聴覚を持つ老人は、どんな“音”も聴き逃さない異常者だった。真っ暗闇の家の中で追い詰められ、怪しげな地下室に辿り着く若者たち。そこで目にした衝撃的な光景に、ロッキーの悲鳴が響き渡る……。(「KINENOTE」から)

Fumitakeが観た『ドント・ブリーズ』映画ネタバレ感想!

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm981993728

若者の泥棒3人が盲目の老人(異常者)の逆襲でとんでもない目にあう「スリラー」という前情報が面白そうだったので、実は見る前から結構期待してました。

ただ、老人が逆襲を始めてからの展開が想像を軽々と超えた「ホラー」の領域にまで達するあたりにむしろこの作品の本体があって、そのままスリリングに最後まで突っ走っていく所に予想外の醍醐味が感じられて結構驚きましたよ。

娯楽映画としてのクオリティが高いので怖い映画が好きではない人でも、もしかしたらこの作品は案外楽しめるんじゃないか?なんて思ってます。

スタンダードでありながら見たことのない映画体験をもたらしてくれる『ドントブリーズ 』。Fumitakeのネタバレ感想です。

それではどうぞ!

舞台はデトロイト。アメリカ一危険と言われる荒廃した街

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm1049102592

『ドント・ブリーズ』の舞台は荒廃した街デトロイトです。

デトロイトは1960年代まではフォードなどの自動車産業で栄えていましたが、70年代に入ると日本社が台頭し始めて、その打撃によって大量解雇や倒産が続くようになりました。

以降、深刻な人口流出と同時に治安悪化が進んだことはよく知られており、その流れはいまだに解決されることなく「デトロイトはアメリカで最も危険な街だ」と言われるまでになっています。

『ドント・ブリーズ』のなんとも言えない恐ろしい雰囲気に説得力が感じられるのは、貧しく荒廃した危険な街、というデトロイトのリアルがバックボーンにあるからだと言えます。

主人公の若いロッキーとその仲間たちが裕福そうな家に忍び込んで金目のものを盗み歩くのも、貧しさ、出口のなさ、希望のなさが背景にあることを考えると、また映画の違った一面を感じることができるでしょう。

ではどんなシーンにデトロイトの街のヤバさがあったか思いつくのを2つあげてみます。

街のヤバさ⑴ロッキーたちの乗る車がボロボロすぎる汗

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm3082366208

まず劇中で目についたロッキーたちの車がオンボロすぎる件です。

これは仲間のマニー(悪事にためらいがない男の子)の車なんだけど、まず塗装が全力ではげまくり。

70年代からそのままなのでは?と思うような年代物?の古いモデルの車であることも合わせて、世間一般の車と比べたら思いっきり浮くのが明らかすぎるくらいボロボロなんです。

街のヤバさ⑵チンピラとやりとりするビルがボロボロすぎ何もなさすぎ汗

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm139081728

盗み出してきたものを、マニーが泥棒市の元締めみたいな怪しげなチンピラ相手にお金に変えてもらうシーンがあるのだけど、その場所となる廃墟ビルのボロボロっぷりが凄まじい。

みていて笑うくらい怖すぎた。

僕はなんとなくフィリピンあたりの貧民街スラムを連想したくらいに汚くて、本当に何もない恐ろしい場所です。

ある意味、どう考えても先進国のアメリカに見えないんです。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm3242801152

普通に想像してこういう場所を考えることってなかなかありえないと思うんで、デトロイトの現実をきっとそのまま映画に引っ張ってきたのではないかと容易に察しがついてしまう。

そういう街のヤバさのさりげない描写から映画の舞台となる世界観が示されていくんだけれど、主役の爺さんが出て来る前からすでに街だけでも十分異様っていうw。

ドント・ブリーズって実はそういう映画なんですよね。

てんとう虫が『ドント・ブリーズ』で暗示していることとは?

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm1882915584

映画のヒロイン、ロッキーは幼い妹リリーを一緒に連れて、荒れ果てたデトロイトから脱出しようとしています。そのために裕福そうな家から盗みを働いたりしているんです。

単純に犯罪は犯罪といって片ずけてしまうこともできますが、実際にはもっと複雑な状況が世界には存在することをキレイ事や理屈抜きに感じさせられるんですよね。

事故の示談金で最低でも30万ドルを手に入れている盲目の老人宅の盗みがうまくいったら、そのお金でカリフォルニアに行く。

そう決意したロッキーは作戦の前日、自分の手にてんとう虫のタトゥーを入れました。

タトゥーって簡単に消せるものではないのでそれを入れるということは、強い覚悟の表れでもあります。

でもなぜそのタトゥーがてんとう虫なのか?

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm3830003712

ロッキーには幼い頃に酒浸りの母親によって何時間も車のトランクに閉じ込められたトラウマがあります。
でもその時に心を落ち着かせてくれたのが、隙間から入って来たてんとう虫なんです。

つまりロッキーにとっててんとう虫は、特別な意味を持っているんですね。

それはどんな重要な意味なのか?

おそらくてんとう虫のタトゥーはロッキーにとって街を脱出するまでは自分の心を落ち着かせるために必要なものなのでしょう。

デトロイトの街そのものが、今やあの頃自分を閉じ込めた車のトランクと同じなのです。

カリフォルニアに逃げることができたら、もうタトゥーはしない。ロッキーはそう仲間のアレックスに言います。宣言、といってもいいでしょう。

それはつまり心を落ち着かせてくれるものにすがる必要のない、閉じ込められていない人生を勝ち取ってみせる。そんなロッキーの想いが垣間見えて来ます。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm1614237440

他に行き場がなく、逃げ場もない。だから絶対にやるしかない。彼女は諦めていない。

このてんとう虫のタトゥーのくだりを、決して流してみることができないのは、ロッキーが切実な戦いをしていることがここに明確に示されているからなんですね。

ま、やることはドロボーなんですがw。

住宅街、家、ペット。盲目筋肉変態じいさんを取り巻く全てが恐ろしい

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm446110720

ここからはいよいよ映画のメインキャラです。

盲目だけど筋肉ムキムキで素手で人を簡単に殺すこともできるサイコパスな老人の恐ろしさについて解説していきますね!

恐ろしさ⑴盲目老人が住む、無人の住宅街の異様さ

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm424294400

『ドント・ブリーズ』は斬って捨てられる無駄なところが見当たりません。

ロッキーたちが老人宅に忍び込む前から、老人の住む住宅街の雰囲気に引き込まれて退屈することがないんです。

ロッキーたちが盗みのターゲットにした老人は湾岸戦争の退役軍人で、ひどく寂れた場所に一人暮らし。

誰一人住んでいない家が延々と立ち並ぶその住宅街の異様さ。
これがデトロイトで現実に起きている状況なのかという。

その特異性をここでも見事に映画のリアル感の素材にしてると感じます。

普通に住居があるけど人気がない荒れた住宅街ってそれだけで、恐怖感の限界を超えるような不気味さがあると思いませんか?

だってそこで何かが起きても、誰も気づいてくれる人はいないわけですからね。

肝試しで廃墟に行くのが可愛く見えるレベルではないでしょうか。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm1109853696

実際劇中で盲目筋肉爺さんがアレックスに襲いかかる場面では廃墟の住宅街に拳銃の閃光と銃声が響き渡るんですけど、誰もいないから、当然助けに来てくれる人なんてどこにもいないんですよ。

ぱっと見は普通の住宅街なのに、よく見たら薄気味悪く荒れていて、そこで惨劇が繰り広げられても誰もいない、という絶妙な塩梅の異様さ。

何気にそういうことをやった映画って他に思い出せなくって、見たことのないのに鉄板になり得るものを出してくる感じがすごく観てよかったと思わせてくれます。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm1664569088

また、ちょっとしたことなんですけど、老人の家のある通りの名前が「ブエナビスタ通り」となっているのも、芸がこまかいなというか、なんとなく僕は引っかかりました。

「ブエナビスタ」っていう地名はアメリカ合衆国や南米にはたくさんあってごくありふれた地名なんです。

匿名性やもの哀しさを感じると同時に、人ごとと思えないような身近なものを感じる観客もアメリカ人にとても多いのではないかと容易に想像できる地名なんですよね。

恐ろしさ⑵盲目老人の家の異様さ

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm76024064

ロッキーたちが空き巣を繰り返すことができているのはアレックスの父親が警備会社をしていて、こっそりクライアントの家の合鍵をを拝借していたから。

老人宅を狙う時も同じ要領で行こうとしたんだけど、いざ入ろうとしてもいつものように入れないわけです。

なぜなら実は老人は独自の施錠をして戸締りをしていたから。

やたらと自前の施錠がしてあって、ロッキーやアレックス、マニーからしたら「なんなんだこれは??︎」ってところですよね。

そこまでする必要がある理由はなんなのか?という違和感がロッキーたちに無意識に漂い始めるんだけど、ことの重大さに気づくことができないんですね。

警備会社の鍵だけで全てを終わらせていない時点で得体の知れない不気味な雰囲気が観るひとをとらえます。

恐ろしさ⑶盲目老人は戦闘マシーンであり危険な異常者でもあった!

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm481167360

『ドント・ブリーズ』の面白さが、タンクトップの筋肉変態じいさんがイラク戦争で手榴弾の破片で失明し盲目である、という点に起因しているのはいうまでもないことかも知れません。

そこからこの映画の全てが始まっているわけで、いわばサッカーの面白さが手を使えないという制約に起因するのととても似ている気がします。(なんのこっちゃ)

まずじいさんの見た目が秀逸。

特に何か派手に奇をてらっているわけではないのだけど、とにかく盲目筋肉変態じいさんの顔周辺の直線的な造形がまず怖い。

何がどう怖いとは言えないけれど、どこか謎めいていて得体の知れないオーラが滲み出ており、直感的、本能的に恐怖を覚える感じなんです。

立ち振る舞いも初めから普通じゃないんですよね。

気配なくその場にいきなりいたりするし、睡眠ガスはなぜか効かないし、マニーを一切ためらわず一瞬で殺すし、見れば見るほど何を考えている人なのかわからなくなってくる。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2377723136

またアレックスと肉弾で戦闘するときもエゲツない攻撃の仕方をするところも恐怖。

リーチの短いパンチを「シュッ、シュッ」と繰り出して確実に打ってくるんだけど、これがまたやたらと重そうなパンチでw。あんな凶器みたいなパンチ絶対食らいたくないなと思う。

終始タンクトップ姿wなのも、鍛え上げられ洗練された恐ろしい戦闘能力が垣間見えるようです。

目が見えず本来ならいたわってあげるべき弱い存在であるはずの老人が、実は素手で何人も殺せるくらいの元海兵隊の殺人鬼のサイコパスで、異常に嗅覚と聴覚が鋭いっていう。

相手は視覚を持たないのに、ちょっとでも気配を出したら見つかって簡単に殺されてしまうから常に息をひそめなければならない、という緊迫感。

映画タイトルが『ドント・ブリーズ』(息をするな)なのは、こういうところに起因していて面白いですよね。

恐ろしさ⑷盲目老人の世界を形にしたような地下室の異様さ

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2159619328

盲目の筋肉変態じいさんが想像を超える異常者であることが最初にはっきりと現れるのは、地下室のシーンからです。

監禁されている女性が現れた時に地下室がパッと明るくなります。

その時ロッキーたちの目の前に現れるのは、ソファーのお尻を乗せる部分だけを無数に、床だけでなく壁から天井まで敷き詰めて覆った空間。

それがじいさんの異常な脳内を具現化したものだと人は瞬間的に理解するでしょう。

まさに「どっひゃ〜」ってみんながなる名場面。

このくだりは、そのまんま『羊たちの沈黙』の地下室のシーンをやっぱり連想しちゃう。

異常な空間が広がるところだけでなく、真っ暗闇で何も見えない中、殺人鬼に有利な状況で狙われる絶体絶命なシーンなども『羊たちの沈黙』とすごく近いなと思った人は多いのではないでしょうか。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm910833664

囚われた女性が必死に助けを求めるところなんかもやっぱりそう。

ただ、テイストが違うので露骨なパクリという感じも不思議にありません。

棚だらけの漆黒の闇という地下空間はやっぱり不気味でいい味出してます。

あと、見ていて「この地下室やたら広いな。」って思います。日本人の感覚だからそう感じるだけなのだろうか?

映画が進むにつれて盲目筋肉じいさんがいかに理解不能な異常者なのかが現れてくるんだけれど、その異常性の根の深さを感じられるのが地下室でのくだりなわけです。

自分の実の娘を交通事故でなくしてしまうわけだけど、その時運転していた女性を監禁して自分の子を産ませようとしている。

そしてその子が死んでしまうと一応嘆き悲しむけど、何について嘆いているのか、最初はよくわからないんですよね。

そして今度はロッキーに自分の子を産ませようとする。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2511940864

そこまで来るとなぜ嘆き悲しんだのかはっきりするわけです。女の子の死ではなく、自分の子供が手に入らなくなったことを嘆いていたのだと。

この「自分の子供を残すこと」に関する執着が、普通の人が抱く家族愛とは全く別次元のものであることに、人は底知れない衝撃を覚えます。

「神はいない。神がいないことがわかればなんでもできるんだよ」と盲目筋肉タンクトップじいさんがロッキーに言います。

このセリフに、ドントブリーズの主役たる盲目筋肉タンクトップ変態じいさんがいかに無敵なのか?という魅力の秘密が凝縮されているのではないでしょうか。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm3929493248

戦争で地獄を見たじいさんからしたら、この世の中はなんでもありなわけで、それがじいさんを常人では想定できない人間に作り上げているわけです。

ちなみに神様の存在を信じない、という点では日本人も海外では「無神論者」と認識されていますね。

キリスト教なりイスラム教なりユダヤ教なり、世界の多くは何らかの宗教によって自らを律している社会があるわけです。

宗教による精神面のルールがあるおかげで社会がなんとか維持されていると。

なので特定の宗教に従い生きるということをしない日本人は彼らにとって「何を考えてるのかわからない」存在になりえます。

自分の宗教がないと、自分の利益を最優先に一直線に行動することになるわけで、そこに美学は必要とされない。

その点で日本人を恐ろしいと考える外国人は珍しくないことは容易に想像できるわけです。

なんかこれって一歩間違うと日本人は盲目筋肉タンクトップじいさんと同じように見られてしまうんじゃないか?とすら思ってしまったワタクシでございました。

恐ろしさ⑸登場するたびに絶望感を覚える犬がもたらす絶望感

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2538875904

それともう一つ、この映画で忘れることができないのが要所要所で見事な見所、山場を作ってくるペットの犬ですよね。

この犬がまたじいさん同様に筋肉ムキムキでwやたらデカくて凶暴。

ちょっと車の窓に飛びかかっただけで窓ガラスが犬の唾液でドロドロになっているあたり、人噛みでやられる予感が漂って来るんですよね。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2461609216

とにかくロッキーよりも顔がでかいし、当然口もとんでもなくでかいわけで。ひとめ見れば簡単に人を殺せる能力がある犬だというのがわかるわけです。

じいさんをなんとかかわして「助かったかな?」と安堵するタイミングでそこに現れたりするので、出て来るたびに絶望感がひどいw。

盲目筋肉じいさんとムキムキ犬の見事な連携プレーが映画をもう一段上に引き締める機能を果たしていると言えるのではないでしょうか。

ロッキーたちからしたらたまったもんじゃないけれどw。

希望のてんとう虫ふたたび。そして起死回生。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm943148800

映画の終盤で、ロッキーはなんとか盲目筋肉サイコパス老人の家から脱出し、獰猛な犬の襲撃もかわすことができますが、そこで再び老人に捕まり、家に引き戻されてしまいます。

老人の家の床に倒れると、その脇には撃ち殺されてしまった仲間のアレックスの痛ましい遺体。

「ごめんねアレックス。本当にごめんなさい」

強烈なパンチで数発殴られて意識朦朧(もうろう)なのと、あと一歩のところで奮闘むなしく振り出しに戻されてしまった絶望感からロッキーは観念し始めます。

もう万事休すか。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2545495296

その時、ふと気がつくと諦めかけたロッキーと観る人の視線の先に再び小さなてんとう虫が現れます。

小さな希望のてんとう虫が。

てんとう虫はパッと翼を広げて飛び立ちます。

生きたてんとう虫が現れるのも、てんとう虫が飛び立つのもこのシーンだけです。

てんとう虫が飛び立ったロッキーの手の指の向こうには、アレックスの手に握られたままのセキュリティシステムのコントローラーが。

絶体絶命の崖っぷちにいるロッキーは、一切の迷いなくコントローラーのスイッチを入れて緊急モードで通報。

途端に大音響で鳴り響く緊急アラーム。

図らずもこれが起死回生の形勢逆転をロッキーにもたらします。

盲目の怪人は嗅覚と聴覚に頼っています。緊急アラームが発動したことで、怪人は触覚が機能しない状態になるんですね。

筋肉じいさんは大音響が堪え難いらしく、呻きながら苦悶の表情で両耳を防ぎます。

それを見て状況を察したロッキーは再び覚悟を決めた目をします。

そして老人に戦いを挑み奇跡的に勝利して、最終的に見事生還し、サンフランシスコへの脱出にも成功することになります。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2662935808

そのきっかけとなった「てんとう虫」というある種の「兆し」です。

「兆し」というものがたとえごく小さなものだとしても、それがどれだけ人を行動に駆り立て運命を切り開く力を持ちうるのか。

そこには人が持つ「意識」の爆発力があるように思います。

幼い頃にロッキーの「意識」に刷り込まれた「希望」を表す「てんとう虫」という「記号」が、絶体絶命の危機から脱して、さらに運命も変えて乗り越える力になる。

「ドント・ブリーズ」はサスペンス・ホラーですが、自分の人生を掴み取ろうとする人間の「意識」の物語とも言えます。

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2320054272

ちなみにロッキーがてんとう虫のタトゥーをして自分を奮い立たせる行動は「アンカリング」とよばれるものです。

五感からの刺激をトリガー(きっかけ)にして、自分が引き出したい特定の感情や反応を引き出す仕組みが「アンカリング」です。

スポーツ選手が最高のパフォーマンスを自分から引き出すために、勝負の時などに身に付けるものや行う習慣で「ゲン担ぎ」をするのと同じ原理ですね。

実はアンカリングすることの影響力は大きくて、人はお守りにその効果を託したり、ブレスレッドやペンダントから自分の潜在的な力を引き出して成長するものなのでしょう。

ロッキーの場合はてんとう虫のタトゥーを見ることでアンカリングして、ブレない自分を作り上げようとしたのではないでしょうか。

僕は今だにアンカリングに関して特に何もしていないのですが、自分の夢を叶えるために最近ちょっと本気でアンカリングになるペンダントかブレスレッドを身につけようと思っています。

なので、とりあえず何か手に入れたらこのブログでご報告しますね♪

『ドント・ブリーズ』の魅力の一つはキレッキレの演出とカットワーク

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm126355712

『ドント・ブリーズ 』は最初から最後まで映画の世界にしっかりと引き込んで最後まで連れていってくれる映画でした。

そこにはさりげなく秀逸な仕掛けがあったので、僕が気がついた『ドント・ブリーズ』の隠れた魅力について紹介していきますね。

魅力⑴見る者と見られる者が逆転していく想定外で未確定なアンバランスさ

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm92801280

シーンの詳細は触れませんが『ドント・ブリーズ』には見ている自分たちが「ハッ!」と息を飲むリアルにスリリングな瞬間がいくつもあります。

それは盲人と盗人たちの「見る側と見られる側」が逆転する瞬間であり、それがこの映画のもう一つのテーマと言えます。

盲目の老人を観察しているはずが、いつの間にかこちらが見られていると感じる瞬間ほどサスペンスを感じるものはありません。

どちらが見られていて、どちらが見ているのかという関係性が常に変化していて確定することがなく、そのアンバランスさが人をとらえて離さなくなるんです。

映画を見ているだけなのに、そういう生々しい体験をしてしまうところがこの映画のもうひとつの独自の魅力と言えるでしょう。

魅力⑵最後まで無駄なく機能し続ける一瞬一瞬のスリリングなカットやシーン

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm109578496

「ドント・ブリーズ」には最初から最後まで目を話すスキもなくずっと引き込まれてしまいました。

退屈する瞬間がほとんど皆無だったのは、映像のカットやつなぎが間断なく絶妙でテクニックのレベルを超えていたからです。

1秒にも満たないような細かい一瞬一瞬のカットなのに目に止まる伏線などがたくさんあるのが本当に見事でした。

他には、秀逸なオープニングの空撮にもセンスがすごく感じられます。

本編の出だしからいきなりバーンと画面に引き込まれ面白くなる予感しかないマジックに、僕はクリストファー・ノーラン『ダンケルク』と共通した力を感じます。

 

魅力⑶盲目筋肉老人に襲われつづけるロッキーとアレックスもいい味出てる!

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2964925696

登場人物はとても少なくて数えるくらいしかいませんが、どのキャスティングもとても見事です。

ロッキー役の女の子は低身長で、言っちゃ悪いけどちんちくりんだけど、劇中ではそれがうまくカモフラージュされていて、背の低さを意識させられることは全くありませんでした。

それでいて、密室の恐怖を描くには絶妙な身長なんです。

ヒロインのお目目がぱっちり系っていうのも、『ドント・ブリーズ』みたいなサスペンスホラーには定番の相性なんだろうなと思います。

あと、割とどーでもいいことだけど、アレックスって常に正確な状況判断ができる好青年なのに、とにかくやたらとひたすらビックリ顔してたよねw。

本編終了後も見逃せない『ドント・ブリーズ』エンドロールの魅力!

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm679087616

『ドント・ブリーズ』は劇中人物も見てる僕らもどんどん想定外の展開へ巻き込んでいく映画ですが、想定外の仕掛けは本編の外側にもありこれまた幸福な想定外でした。

エンドロールで驚かされるなんて全く予想していなかったよ…。

思い出のシーンをグラフィカルに振り返るエンドロールの粋なはからい

『ドント・ブリーズ』がある意味で一番わかりやすい娯楽性を感じさせるのは実は本編の後のエンドロールだったりします。

さりげなくサービス精神たっぷりに作り込まれていて、

盲目筋肉じいさんの恐怖の家に、プロデューサーや原作者、主要キャストなどのクレジットが立体的で浮かんで見せていく仕掛けでポップな楽しさを味わうことができるんです。

事後的に、劇中で起こったいろんな「思い出の場所」をグラフィカルに振り返って見せて、「あそこ面白かったよね」みたいなノリで改めて余韻を味あわせてくれるわけですね。

とてもオシャレでで粋な計らいじゃぁありませんか♪

余談だけどサム・ライミの会社によるオープニングも何気に微笑ましい件

ちなみに『ドント・ブリーズ』は本編開始前に、サム・ライミの会社「ゴーストハウスピクチャーズ」によるオープニングを見ることができます。

何気にこれが個人的なツボでした。

小汚いドアが「バンッ!」って勢いよく閉まって、その鍵穴から真っ白いシャレコウベが覗いてくるやつです。

驚かしたいのか何をしたいのか。

全然怖くないんですよねこれが。
むしろワクワク感しかない。

鍵穴から頭部全部見えるって、どんだけ小人のシャレコウベなんだよw」っていうツッコミを入れたくなってついニヤニヤしてしまいました。

気持ちのいいジョークとして非常に僕のお気に入りとなっていす。

『ドント・ブリーズ』を観て連想した映画たち6選!

出典:https://www.imdb.com/title/tt4160708/mediaviewer/rm2557949952

僕の悪いクセなのかもしれませんが、映画を見ていると「あ、このシーンどこかで見たことあるな」なんて思うことがよくあります。

ここでは『ドント・ブリーズ』を見ていて僕が思い出した映画のことを軽く紹介していきますね。

⑴リアルなデトロイトを感じるエミネム主演『8Mile』

出典:https://www.imdb.com/title/tt0298203/mediaviewer/rm2187264512

『ドント・ブリーズ』の世界観はデトロイトという現実の治安最悪の街をベースにして、劇中からもデトロイトの荒廃をリアルに感じられる面白さがあります。

舞台となるデトロイトがリアルに描かれている点で共通するのがHIPHOPのスーパースター、エミネムが主演した『8Mile』というラッパーが主役の映画です。

なので映画を通してデトロイトの異様な街の雰囲気を生々しく味わって見たいならぜひこの作品もオススメですよ。という話でした。

⑵盲目のオードリー・ヘップバーンが悪人撃退『暗くなるまで待って』

出典:https://www.imdb.com/title/tt0062467/mediaviewer/rm3356969728

オードリー・ヘップバーンが目の見えないご婦人を演じた名作『暗くなるまで待って』をある意味逆さにして作り直したのが『ドント・ブリーズ』といえます。

『暗くなるまで待って』では盲人は善良な人で、侵入してきた悪人の脅威をサバイブする話となっています。

例えば真っ暗闇にして形成逆転するシーンでは、観客の反応は正反対になります。

2つの映画を見比べて見るとなかなか楽しめるのではないでしょうか。

⑶逃げ切れたと思った後の絶望感を味わう怪物屋敷『悪魔のいけにえ』

出典:https://www.imdb.com/title/tt0072271/mediaviewer/rm2391160320

家の中には想定外の異世界の地獄が広がっていて、もう戻ることができない境界線の向こう側の人間がすまない世界へ飲み込まれてしまう恐怖感は『悪魔のいけにえ』と符合します。

また、あと一歩で助かったかと思わせておいて再び狂気渦巻く家に引き戻されるところなんかも『ドント・ブリーズ』は『悪魔のいけにえ』と同じ流れになっていました。

⑷捕獲されて子供を産み付けられる恐怖『エイリアン2』

出典:https://www.imdb.com/title/tt0090605/mediaviewer/rm3066572544

『エイリアン2』では人間がエイリアンの巣にきつく縛り付けられてフェイスハガーによってエイリアンの子供を産み付けられる場面があります。

ロッキーが地下室で縛り上げられて無理やりザーメンを注射器で注入されそうになるシーンで、このエイリアン2のことを連想しました。

盲目筋肉じいさんはエイリアンだった説汗。

⑸猛犬に執拗に狙われて車から出られない『クジョー』

出典:https://www.imdb.com/title/tt0085382/mediaviewer/rm4103767808

『クジョー』はスティーブン・キング原作のホラー映画です。

母と子が狂犬病の巨大な犬に襲われて猛暑の中車の中から出られなくなる恐怖を描いている作品です。

『ドント・ブリーズ』の犬のシーンはある意味、ほとんどこれと丸かぶりって感じでしたw。

⑹地下室の異世界と脅威が野放しで続編を期待させるラスト場面『羊たちの沈黙』

出典:https://www.imdb.com/title/tt0102926/mediaviewer/rm1215837696

まず地下室に異常者の異様な世界が具現化されている、という設定はそのまんま『羊たちの沈黙』と重なります。

照明を落とされて漆黒の闇の中サヴァイブしなくちゃいけなくなる恐怖感なども全く同じ。

また映画のラストで異常者が健在で野放しになっていルことを知ったヒロインが底知れぬ不安を抱くという点も、いい意味で非常に共通しています。

なので『羊たちの沈黙』がその後シリーズ化して続いていったように、『ドントブリーズ 』も続編が出ることについつい期待をしてしまう自分がいます。

ちなみに『ドント・ブリーズ』はU-NEXTなら実質無料で観ることが出来ましたよ♪

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